<Header>
<Author: 高適>
<Title: 燕歌行>
<Format: 樂府詩>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 燕歌行>
<BookPage: 251>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
漢家煙塵在東北，
漢將辭家破殘賊。
男兒本自重橫行，
天子非常賜顏色。
摐金伐鼓下榆關，
旌斾逶迤碣石間。
校尉羽書飛瀚海，
單于獵火照狼山。
山川蕭條極邊土，
胡騎憑陵雜風雨。
戰士軍前半死生，
美人帳下猶歌舞。
大漠窮秋塞草腓，
孤城落日鬬兵稀。
身當恩遇恆輕敵，
力盡關山未解圍。
鐵衣遠戍辛勤久，
玉筯應啼別離後。
少婦城南欲斷腸，
征人薊北空回首。
邊庭飄颻那可度，
絕域蒼茫更何有。
殺氣三時作陣雲，
寒聲一夜傳刁斗。
相看白刃血紛紛，
死節從來豈顧勳。
君不見沙場征戰苦，
至今猶憶李將軍。
<End Poem>
<Translation>
漢の世実は、この唐代戦乱が東北の辺境、昔の燕の地に起こって、漢実は唐の将軍は家郷に別れを告げ、凶暴な敵を打ち破ることとなった。男子たるものは、もともと、自分から進んで戦場に思いのままに活躍することを重んずるものであり、天子もそれに対しては格別の栄誉を賜るのである。

鐘鼓を打ち鳴らして楡関を通って下り、旗さしものはひるがえって、蝎石山の山あいを、曲がりくねって続く。校尉の発した檄文は、、ゴピ砂漠にまで届けられ、匈奴王のたくかがり火は、狼居背山を、あかあかと照らし出している。

山や川はものさびしく辺境地帯の果てまで続き、匂奴の騎兵は、勇猛で荒々しくその勢いに、更に暴風急雨を加えたようにすさまじい。兵士たちは軍陣の前方で半数は戦死しているというばりの中では、美女が将軍の陣営のとばりの中ではその時にもなお歌舞しているありさまなのだ。

広大な砂漠の秋の終わりに、とりでのほとりの草は枯れおとろえ、孤立する城塞の夕日の中に、戦う兵士の姿はまばらである。戦土自身は、天子の恵み深い待遇を受けているが故に常に敵を恐れることなく戦い続けたが、今は国境の山々に力も尽き果てて、いつになっても敵の囲みがうち破れない。

よろいを身につけ遠く防ぎ守って、辛い苦しみばかり長く、夫との別れの後、美女の涙は流れ続けて、今も泣いているにちがいない。まきしく若妻は都の城南に、はらわたのちぎれる悲しみを抱き、出征の兵士は、薊北の戦場に、ただ故郷をかえりみるばかりなのだ。

辺境を吹く風は、わびしい音をたてて、どうしてこの辺地を越えて帰郷することができようかと思わせるし、都から遠くかけ隔たったこの地域は暗く果てしなく広がって、いったい、そのほかに何が見えようか。荒々しい戦場の殺伐の気、春、夏、秋のいずれの季節にも立ち上って、、戦場の不吉な雲となり、またある夜には、、寒々とした音で警戒のどらが鳴りひぴく。

見れば白刃の上には、人を斬った血が一面にこびりついている。節義のために死ぬ身にとって、もともと、どうして勲功を 認められようなどと思うことがあろうか。どうかごらんなさい。砂漠の戦場で戦う苦しみを。今になっても、なお慕い思うのは、昔の名将李将軍のことばかりなのだ。
<End Translation>